デジタルカメラ(写真) VS フィルムカメラ(プリント)2021
デジタルカメラ事情
アナログカメラ事情
1. デジカメの情報量は、フィルムを超えた!
1. フィルム供給がたたれる歴史的な年!
 2008年11月末日、35mmデジタル一眼レフカメラの2110万画素『Canon EOS 5D Mark II』が発売された。更に2012年3月22日、3630万画素『ニコンD800』が発売され、同年4月12日、ローパスフィルターの働きを無くした超高解像度『ニコンD800E』が発売され、2012年3月22日、Canon デジタル一眼レフカメラ EOS 5D Mark III ボディが発売された。
 CMOSの画素数と比例して、受光面積の大きさも情報量の重要な要素を占めるが、上記カメラは共に、36×24mmのフィルムと同程度のCMOSサイズを有している。今迄は、中判タイプの業務用デジカメで、やっと 2600万画素相当だったが、遂に3630万画素もの超高解像度デジタル一眼レフカメラが、30万円前後で入手可能となった。
 Canon EOS 5D Mark II のラージサイズで撮影すると、5616×3744pixel=350dpi印刷原稿サイズ(407.56×271.71mm)となる。A4判どころか、B4判も上回る、A3判弱のサイズとなる。
 ニコンD800のラージサイズで撮影すると、7360×4912pixel=350dpi印刷原稿サイズ(534.13×356.47mm)となる。A3判を上回り、B3判弱のサイズとなる。
 Canon EOS 5D Mark II のラージサイズプリントを想定した場合、5616×3744pixel=200dpi解像度サイズ(713.23×475.49mm)、約大全紙相当となる。
 ニコンD800のラージサイズプリントを想定した場合、7360×4912ピクセル=200dpi解像度サイズ(934.72×623.82mm)、A1判を上回り、B1判弱のサイズとなる。
 デジタルカメラは、白に近い明るい部分の諧調幅が極端に狭く、原状の大きな欠点とも云える。反対に黒に近い暗い部分の諧調幅はフィルム相当以上にあり、明るさの違いによる諧調幅の偏りが生じている。極端な偏りは、補正も困難なため、高輝度諧調優先撮影にすると、明るい部分も表現される。

 デジタルカメラのJPEG写真データは、sRGBの色空間領域で処理されている。(index参照)フィルムの場合、印刷に使われるAdobe RGBよりも、更に広い色空間領域がある。従って、通常デジカメの再現色数はフィルムに比べて格段に劣るため、色空間をAdobe RGBに設定してRAW撮影し、適正モニターを見ながら現像処理補正を行うと良い。

 参考:TV番組[開運!なんでも鑑定団]の骨董鑑定士・中島誠之助氏いわく、『「なんでも鑑定団」では応募の際にまず「お宝」の写真を送ってもらうんですが、銀塩写真で撮ったものは百発百中、本物か偽物かその段階でわかる。でもデジカメで撮ったものは、半分くらいしかわからない。そこにデジカメの本質があるんじゃないでしょうか。』・・・引用(有名人のお宝カメラ・朝日新聞)
 35mmフィルムを、業務用ドラムスキャナーで取り込むと、デジカメ換算で2600万画素相当の情報量となる。中判ブロー二ーや4×5インチサイズでは、更に2桁・3桁以上の差が出る。画素数の多さと同時に、色の諧調情報も多く、フィルム種類の違いで、実に多くのカラー情報量を有している。
 35mmフィルムで撮影、350dpi印刷原稿に用いた場合、A3判よりも更に一回り大きなサイズまでカバー出来る。
 フィルムの諧調幅は、明るい部分から暗い部分までほぼ平均的にある。一般的な内式フィルムは、明るい部分の諧調幅に優れている。外式フィルム(コダックローム)の諧調幅は、内式フィルムに比べて更に広く、暗くても潰れない超微細なカラー発色を得られるため、長年に渡って映画にも用いられてきた。
 ネガフィルムの場合、ネガからプリント作成時に大きく色が異なる欠点があった。しかし、リバーサル(ポジ)フィルムを用いれば、ほぼ忠実な色再現可能である。コダック・エクタクロームやフジカラー・フジクロームなどの内式フィルムであれば、一般印刷色空間Adobe RGB領域を上回るカラー発色・再現可能。テレビやパソコンのモニター再現色を遥かに上回る、カラー情報を含んでいる。
 しかし、2012年3月1日メーカーは、【コダック プロフェッショナル エクタクローム及びエリートクロームフィルム製造販売中止のお知らせ】を正式に発表した。即ち、2012年は、フィルム製造販売中止された年と、後世の歴史に残る一代転換点となる。
 残る『富士フィルム』に期待したい。
 ポジフィルムの場合、 肉眼のカラー領域に相当するLabカラーと、一般印刷色空間Adobe RGB領域とのほぼ中間程度のカラー領域まで再現可能。
 印刷での色再現が困難な、コバルトブルーなどの蛍光発色も、ポジフィルムでは再現可能である。そのため、学会などのスライド映写~印刷まで多方面に用いられている。(index色空間情報参照)

2. デジタルカメラも、ブレや埃を克服!
2. フィルムカメラはブレや埃に強い!
 デジタルカメラの受光素子・CMOSは、受光画素点が平面に縦横規則正しく配列されている。そのため、少しのブレでも、テレビのゴースト画像のようにはっきりと影響が出て視認される。
 近年の高感度化:高速シャッターを併用や、レンズやボディに内蔵されているブレ軽減装置を活用する事で、ブレの軽減を図る。また、三脚&ミラーアップ・レリーズ併用も有効。

 受光素子に付着した微細な埃は、メーカー修理となり現状、保証期間経過後は、キヤノン、ニコン共に数千円の清掃代金が必要。
 ちなみに、過去、海上撮影のレンズ交換時に、微細なゴミがセンサーに付着し、除去出来ないためにメーカーに清掃クリーニング依頼。海上撮影時のレンズ交換は止めた方が無難!
 メーカーから外部委託先にてセンサークリーニングが実施されているが、修理者がクリーニング液を多く付け過ぎた結果、毛細管現象によると思われるセンサー多重層への染込み、高感度撮影時、白画面にて「にじみ模様」出現、メーカー工場にてセンサー交換修理(通常5万円・メーカー責任のため無料)となりました。
 ゴミが付着した場合、バルブ等にてミラーアップして、エアー(シュポ・シュポ)を掛ければ、通常は除去できる。ただし、海上の潮風に含まれている微細な塩や、天ぷら揚げ物等で発生するオイルを含んだ蒸気等は、頑固なため要注意!
 フィルムの場合、乳剤中のカプラー(色素)が、乳剤層の中で平面及び一定の厚さにランダムに配列されている。 結果、少しのブレは分散されるので、影響があまり表立って出にくい 。

 フイルムカメラは、受光面(フィルム)が絶えず新品と交換される。構造が単純なため、ブロワーブラシなどで、埃やフィルム屑なども簡単に清掃除去できる。


【2022年12月時点・最新カメラ事情】

  2020年2月発売の「Canon デジタル一眼レフカメラ EOS-1D X Mark Ⅲ」は、ファインダー撮影時:最高約16コマ/秒、ライブビュー撮影時:最高約20コマ/秒の高速連続撮影、常用ISO感度100〜102400、H1拡張(ISO204800相当)、H2拡張(ISO409600相当)、H3拡張(ISO819200相当)、5.5K(RAW)、4K(UHD,DCI)動画記録などの、高画質化と超高感度が特徴のプロ用機材である。
  特に、オーロラ撮影時など、超高感度時の最高約16コマ/秒の高速連続撮影や高画質動画撮影などで、威力を発揮する事だろう!
メーカー参照リンク:キヤノン:EOS-1D X Mark IⅢ|仕様

Canon デジタル一眼レフカメラ EOS-1D X Mark III ボディー EOS-1DXMK3

  2022年3月発売のミラーレス一眼レフ「EOS R5 C」も、高速・高画質な約4500万画素静止画性能を有しており、Photo & Videoハイブリット(Kデジタルシネマカメラとして、異次元の高性能を有している。
メーカー参照リンク:キヤノン:映画制作機器 CINEMA EOS SYSTEM|EOS R5 C|概要

Canon ミラーレス一眼カメラ EOS R5 ボディー EOSR5

 2020年6月5日発売の「Nikon デジタル一眼レフカメラ D6」は、ISO 100~102400(ステップ幅:1/3、1/2、1ステップに変更可能)、ISO 100に対し約0.3、0.5、0.7、1段(ISO 50相当)の減感、ISO 102400に対し約0.3、0.5、0.7、1段、2段、3段、4段、5段(ISO 3280000相当)の増感、感度自動制御が可能と、約14コマ/秒の高速連続撮影、105点AFシステムを特徴とする、高機能プロ用モデルである。
 特に、今までに無い超高感度撮影が可能なので、オーロラ等のごく僅かな光しかない、暗闇の様な条件の厳しい中での撮影に、威力を発揮する事だろう!
メーカー参照リンク:D6 - 概要 | 一眼レフカメラ | ニコンイメージング

Nikon デジタル一眼レフカメラ ブラック D6

 2021年12月24日発売のニコン・ミラーレスカメラ「Z9」は、有効画素数4571万画素、動画8.3K・60p、8KUHD・30p、4KUHD・120pと、静止画と共に動画撮影にも力点を置いた仕様となっており、2022カメラグランプリを受賞している。
メーカー参照リンク:Z 9 - 概要 | ミラーレスカメラ | ニコンイメージング

Nikon ミラーレスカメラ 一眼 Z9 ボディ black
デジタルカメラ換算望遠倍率・解説
 デジタルカメラの場合、一般的にCCDやCMOSなどの撮像素子の大きさが、24×36mm(フィルムカメラ)と比べて小さい。撮像素子の大きさに比例した換算望遠倍率となるため、《1秒/レンズ換算焦点mm》よりも早いシャッタースピードでないとブレの原因となる。ご自分のCCDまたはCMOSの大きさと、50mm換算倍率把握を!
撮像素子画面 サイズ24.0×36.0mm  1.0倍  50mm換算⇒50mm
       サイズ15.8×23.6mm 約1.5倍  50mm換算⇒75mm
       サイズ14.9×22.3mm 約1.6倍  50mm換算⇒80mm
       サイズ13.0×17.3mm 約2.0倍  50mm換算⇒100mm
例:換算倍率が2倍の場合、レンズ200mm表示の望遠では200mm×2倍=400mmとなり1/400mm(実質1/500)秒よりも早いシャッター速度が必要。


水中や北海道(低温下)での撮影に威力を発揮するカメラ!

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2019年7月26日発売
F2.0両面非球面レンズ
15m防水,2.1m耐衝撃,100kg耐荷重,-10℃耐低温,耐結露。
参照: メーカー製品・公式サイト
OLYMPUS コンバーターアダプター CLA-T01
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密封袋と併用して、カメラ内部の乾燥状態維持を!

3. デジカメも2014年9月1日以降、使用制限緩和!
3. フィルムカメラは、離着陸時も使用OK!
 飛行機の離着陸時、デジタルカメラは使用制限されていたが、2014年9月1日以降、制限緩和された。
参照:報道発表資料:航空機内における電子機器の使用制限を緩和します - 国土交通省
参照:機内での電子機器の使用について/手荷物について│航空券│ANA国内線

 飛行機の離着陸時、フィルムカメラの場合制約が無いので、大手を振って撮影可能。


4. デジカメは高感度に強くスキャニング不要。
4. フィルムは高感度に弱くスキャニング必要。
 一昨年から今年に掛けて発売された、キヤノンやニコンの高級一眼レフ・デジタルカメラは、フィルムを遥かに上回る超高感度ISO3200~6400=高画質となっている。フィルムで撮影出来なかった星空夜景や、ジェット機の飛行瞬間など、新たな領域の撮影が可能となった。

 デジタルカメラは、スキャニング不要だが、パソコン等にデジタルデータを直接取り込み、現像やカラー補正をしないと、彩度の鮮やかなポジフィルムの様に美しい写真とならない。

 インターネットや電話回線、携帯電話などで容易にデータ伝送出来、瞬時に写真を送ることが可能。(受けて先が、情報受信装置を有している場合。)
 高感度フィルムは粒子が粗く、ネガフィルムで通常ISO800が利用限界である。ISO3200やISO6400にすると、極端に画像粒子が粗く目立つ。そのため、ポジフィルムでは、通常ISO400までの高感度撮影にとどめる場合が多い。

 フィルムをスキャニングしてデジタルデータ化する場合、手間(時間)と費用が必要となる。カラーは、ポジフィルムの色がそのままデータやプリントとなる。
 スキャニングを経てデジタルデータ化して伝送するか、或いはフィルムやプリントを直接送ることになるが、多くの場合アナログ故に嵩張り、輸送日数も必要となる。


5. デジカメ記録メディアは、超コンパクト!
5. フィルムは嵩張り、管理も大変!
 デジタルカメラの記録メディアは、日進月歩で記憶容量の拡大と、容量あたりの単価値下げが続いている。フィルム代金+現像代金と比較しても、実質的にメディアの方がランニングコストが安い。
 飛行機に搭乗する際のセキュリティ検査も、殆ど影響を受けることはない。
 ただし、強力な磁石や電磁波の影響で、メディアの記憶データが消失するこがあるので要注意!
 未現像フィルムは、高温やX線を嫌う。ポジフィルの保管も、防カビ対策などが必要で、撮影済みフィルムが多くなると、その保管場所確保も大変である。
 フィルム需要の減少と比例して、フィルム価格も高くなり、現像代金を含めたランニングコストは高騰している。

 飛行機搭乗時のX線検査などの情報は↓
    リンク頁・オーロラ関係を参照
 
6. 起動時間必要、タイムラグ長い!
6. 起動時間ゼロ、タイムラグ短い!
 当初のコンパクトデジタルカメラは、電源スイッチONにしてから、カメラが起動するまでにある程度の時間が必要だった。
 シャッターボタンを押してから、実際にシャッターが切れるまでのタイムラグが長く、動きの早い被写体では、ベストタイミングでの撮影を掴むのが困難だったが、最新のカメラでは、タイムラグも相当改善され、実用に支障無い程となっている。
 機種毎のタイムラグ把握が必須!
 フィルムカメラは、電源スイッチONにすると同時にカメラも起動する。
 シャッターボタンを押してから、実際にシャッターが切れるまでのタイムラグが短く、動きの早い被写体でも、経験に基づくベストタイミングでの撮影が可能。

2020年以降のカメラ事情予想
 2019年は、カメラレンズを3個有しているスマホの登場により、超広角から望遠まで、簡単に撮影可能となり、一眼レフカメラとの性能比較が話題となった。2020年以降、益々、技術進歩による高機能化が進むと想定されるが、高機能のスマホでは1台10万円を超える販売市場価格と、月々の利用料金負担と、一眼レフカメラとの価格差が縮まっている。スマホ・一眼レフ共に、高機能・高価格機材について、せっかくの高機能を使いこなせるか? 使用する機会が頻繁にあるのか? は、別問題で、機能を絞った割安な製品との二極化が進むものと想定される。
7. スマホカメラと特殊性能カメラに
7. フィルムカメラ未体験の若年層の利用
 2016年4月、NIkon「札幌サービスセンター」及び「福岡サービスセンター」が共に閉鎖された。
参照リンク:業務終了のお知らせ | ニコンイメージング

 2017年12月、一眼レフカメラの最大手「キヤノン」の写真ギャラリー併設サービスステーション(札幌、福岡、東京・新宿)が閉鎖され、更に、2019年3月で、名古屋も追加閉鎖となり、東京銀座と大阪のみの、大幅縮小となった。

修理受付窓口:キヤノン:サポート|修理品持ち込み窓口一覧

 コンパクトカメラの需要は、スマホに完全に食われ、フィルムカメラと比べ、画素数や超高感度の技術確信のスピードが早いデジタルカメラの場合、修理に出す頃には、新機種への買い替えとなるため、機種毎の使用期間サイクルが短いので、メーカーとして利益を確保するの大変な時代に突入した。

 低温化、水中深く、暗闇など、特殊悪条件化でも綺麗な写真が撮影可能な特殊カメラの需要が見込めるが、スマホカメラとの熾烈な競争に、新たな付加価値を生み出さなければ、先が見込めない!
 今まで、フィルムカメラ・プリント撮影を体験したことの無い若年層にとっては、富士フィルムが発売している・ハイブリッドインスタントカメラ「FUJIFILM チェキ インスタントカメラ/スマホプリンター instax mini LiPlay ブラッシュゴールド INS MINI HM1 BLUSH GOLD

に代表される機種が新鮮な商品と映り、新たな需要となっている。
2022年12月23日更新
 

 
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